2011年2月20日日曜日

R.W.計画 その5 彫り

 ミケランジェロの彫り方って、おかしいと思いませんか、荒彫りという段階がありません。石のかたまりから膝頭が出てきて、そこだけ仕上がったまま残ってるものがあります。ギルランダイオが師匠であるはずですが、はやくからメジチ家にあずけられてしまったらしいです。本人も水槽から水が出ていくように中から彫刻が出てくると言っているので、おかしいのは確かです。
 システィーナ礼拝堂で首を背中の方へまげ、天井の巨大な顔をフレスコの制約で短時間で描きあげ20メートル下から見てチャンと出来上がってる。という特技の持ち主です。普通とちがうのでしょう。
 ドナテロやギルランダイオの世代に興隆であった鋳造技術もミケランジェロやダ・ヴィンチの頃には廃れてしまって石を彫るしかなかったのです。
 若い頃は"自己流"でやっても、いきおいで仕上がったのですが、晩年のピエタなどは、それがせいで仕上がらなくなった、というのが私の正直な感想です。ミケランジェロは受注のものが出来上がらず。契約不履行で施主から逃げまわってます。一から十まで自分でやらなきゃ気が済まない、というのも仕上がらない理由の一つではありますが。
 
 彫りの作業ですが、ただひたすら彫るだけなのでこれといって書くことはありませんので、私の使ってる彫刻刀(トウ)を紹介します。

 右の6本は柳刃と言ってつかっているトウの大中小の左右6本です。おもに凹の部分を仕上げます。凹の部分は丸刀でさらっただけではだめで、コレで仕上げます。凹の部分は縦断する仕事ではなく、それを横断する仕事が必要です。よくヒトに、いつ仕上がったとわかるのか?ときかれますが、凹の部分の谷底が決まったときだ。と、答えときます。実際は仕上がったときなんか分かりません。
 この柳刃は、放物線状に研いでありますので、凹のどんなアールにも合います。
 私は、研ぎ水が柄にしみこんだり、柄の中で刃物が錆びてしまうのがいやなので、着脱可能にして、研ぐときは柄から抜いてといでいます。
 普通の柄の仕立て方を載せておきます。クリックして拡大すると、かろうじて読めるとおもいます。

 以下はR.W.計画の各部の写真です。
 背面です。軽量化のため内刳りしてます。内刳りの効用は、他に、
*・・材料を内側からも乾かし、割れをふせぐ。
*・・木の変形する力から、接ぎ合わせを守る。
があります。
 肩部です。服を着なければならないので、可動式になってます。
 手の部分は、まる彫りです。
 頭部の彫りが、ほとんど終わった状態です。コレでイイんだろうか。