2017年5月22日月曜日

Z型玄翁の提案


私が古物市で買ってきて使っている玄翁に、このようなものがあります。


プロポーションが細長く、大玄翁のように見えるが実際は100匁強の玄翁です。この玄翁は意識的に前後方向にゆがめて作られた形跡があるのです。言葉で説明しづらいので図と写真を載せます。

このように穴に柄を挿げますと自然と手元が下がるように作られてます。このニュアンスが火造りの段階で明らかににつけられてます。使用者からの要望を汲んだ製作者がいたことを現しています。どちらかへ転んでしまうのなら意図的に転ばそうということでしょう。
このタイプの玄翁は他でも見たことがあります。ある大工道具屋さんの所蔵品でしたが、それは穴屋が使っていたという大玄翁で、もっと明確にZ型をしていました。
そして最近思い出したのが続・道具曼荼羅に載っていた「割れた玄翁」です。これも穴屋がつかっていた大玄翁とのことです。続・道具曼荼羅は持っていませんので友人のものを撮影させてもらいました。複写でない撮影での掲載をお許しねがえればと思います。
この大玄翁もその傾向があるように見受けられますがどうでしょうか。

穴屋の大玄翁として有名なのは土田刃物店蔵の大黒屋の大玄翁ですが、丈が4寸3分ある長大なものです。穴屋の使う大玄翁がすべて大黒屋のような丈の長いタイプであったかどうかは断言できないのも事実でしょう。他にひとつでも例があれば別ですが、私は見たことがありません。なお、大黒屋作の大玄翁はストレートで穴も真っ直ぐです。Z型ではありません。


それらのことを踏まえ、木型で製作してみます。


右が大黒屋の大玄翁の石膏型で、用意したのはそれよりわずかに短い欅材。


荒取りはこのような形。


彫りあげたところ。


着色してみた。両口が平行であることを示す。


柄にみたてた真っ直ぐで厚みだけテーパーの木をさしてみた。予定通り手元が下がった。

その後、彫り変えて鍛造痕を修正しました。



玄翁の木型は打ちっ放し仕上げ風にしてみたのですが、私が持っている100匁強の玄翁の側面が火造りの鎚跡そのままであったためです。穴を開けた際の胴中のふくらみも残ってます。もっとも胴中が膨らまずに火造る方法もあることでしょう。大黒屋の大玄翁には、この胴中のふくらみはありません。
仮説ですが、古くは玄翁などは火造りのままに近い製品だったのではないでしょうか。現在でも彫金用の鎚はふつうに火造りの鎚跡が残ってます。

そして伝説の John Henry が振っていたという Spike Driver Hammer です。角ノミ機の出現で職を失った穴屋は、蒸気釘打ち機と競争して敗れたジョン・ヘンリーの話と同じ事象であることに気づきました。
本国ではアンティークでしか見あたらない Spike Driver Hammer ですが、なんと日本で作られてるようです。このような鎚が江戸時代に入っていたら、、、これも仮定のはなしですが。

株式会社ヤマカツ 製








2017年5月21日日曜日

肖像の研究 5 にお出掛けくださいましてありがとうございました

「肖像の研究 5」岩野亮介展に、お出掛けくださいましてありがとうございました。






チャーリー・パットン


旧作の貼り子化






会期中の4月29日の晩には、町田謙介さんにギャラリーで生声ライブを演っていただきました。外のベンチに座っていたボブさんも雨宿りで会場内に入ってきました。



ボブさんの前で緊張ぎみ?で歌う


さらに罰金をとらんと見守る御大

30人のお客様にお越しいただきました。





町田さんの許可を得てアップしました。
生声とポータブルのギター・アンプのバランスが良く、ギャラリー内に響きわたっていました。