2021年7月30日金曜日

つんぼ号を研ぐ

新潟県東頸城郡の現在上越市に吸収された地域にある父の郷里で、一家に一丁はあるつんぼ号の鉈ですが、特徴としては片刃で横方向に裏スキがあり、先端はタガネで切りっぱなし、背側に肉抜きの打痕が一列か二列にならびます。おもて側はほぼ火造りで、ざっとハスにヤスリがけがあるといったかんじです。無銘であるか、あるいは◯にイ、二、スなどの刻印(販路をしめすのか)、後年には「つんぼ」の刻印があるものもあります。
先日私が東頸城に行った際、親戚から研ぎを頼まれ持って帰ってきました。

うちにも一丁、今はない東頸城の家から持ってきたものがあるのですが、関東の両刃の鉈に慣れてしまっているせいか彫刻作品に使ったことはありません。ちょっとどういうふうに研いでいいか分からないところがあります。ウラを平らな板に乗せますと、まるっきりチャンチキでとても鉋のようにウラを押すことができないのです。

そこで、高田のつんぼ号のお店で買ってきた菜切包丁を思い出しました。'90年代でしょうか、もう生産はやめているというはなしでしたので、どこかのOEMものかと思ってたんですが、どうもつんぼ号で作ったもののような気がしてきました。これが鉈とおなじ形式の片刃なのです。片刃であれば両刃のような鋼を地金でサンドイッチにしたものよりも、おもいっきり焼きが入れられますから切れるわけですが。

菜切りなので、これは両刃のように研ぐのではないかと思って。


これは親戚から研ぎを頼まれて持って帰った鉈。
幅が残ってますが、古めのかんじがします。山七のタガネ銘は販路の金物店から頼まれたのでしょうか。使っていた家の屋号ではありません。



実際問題として、ウラは手元を浮かせて。
これしかやりようがありません。刃返りを軽く取り去る程度に。



サビと白ペンキを掻き取りました。まだまだ使えます。親戚宅ではこれを風呂炊きの薪づくりに使ってます。現役です。


かんたんにサヤを作ってあげました。