2017年10月27日金曜日

Smartphone Film Duplicator スマートフォンを使ったフィルムのデュープ

だいぶ前ですが、「アサヒカメラ」で、フィルム・スキャンとデュープについての実験記事がありました。
時間が経過して、デジタルカメラの性能が上がって来てますので状況が変わってきています。
デジカメで直接ネガをデュープした方が早いことは前から言われていました。
私が気に入らないのは、スキャナーですと黒縁が入らず。微妙にトリミングされてしまう点です。簡便な
 iPhone をつかったデュープ方法を試してみました。

スマートフォンのピントの合う最短距離をしらべ、合板で箱を作り、レンズが中心に来るように穴を開け、そこにスマホのケースを両面テープで貼りつける。
フィルム抑えには光を拡散させるために白のアクリル板を使いました。コントラストを下げないために植毛紙でマスクが作ってある。

問題はカラー・ネガ。カラー・ネガをPCのディスプレイに画像で「白」」を出して背景として撮影。

撮影したネガフィルムの画像。カラーネガのベースのオレンジ色が障害になって、このまま「階調の反転」をしても真っ青になってしまう。モノクロ・ネガですとまったく問題ないでしょう。

ここからはスマートフォンの写真現像アプリケーションでの作業。まず、反転する前にカラーネガのオレンジ・ベース色の反対の青に目一杯ふっておく。

反転します。コントラストが足りないのがわかる。

コントラストと濃度を上げる。このときに画像が荒れるようです。




中判のブローニー・フィルムでやってみます。
35mmフィルムとブローニーフィルム兼用機を作りました。
ブローニーフィルムの幅に35mmフィルムの溝が切り欠いてある最初の型。

不具合があったので、35mmフィルムは専用のスリーブに入れることにする。

ブローニー複写時。手前にあるのが35mmフィルムの枠とスリーブ。

35mmフィルム、ブローニーフィルム兼用機の35mmフィルム使用時。

ブローニーフィルムのスマートフォンでの撮影画像。

反転された画像。


PCに取り込んで画像処理した。





なお、リバーサル・フィルムは何の問題もありませんね。
画像も荒れないようです。


カラーネガの反転はかなりむずかしく、スキャナーにはその機能が備わってるわけですが、一般の使用に際してはスマートフォンにそのようなアプリケーションを導入しなければならず、これは実験で終わってしまいました。
似たようなものが商品化されたようですが、私はこれを2年まえに行ったことを記しておきます。








2017年9月18日月曜日

第46回 齣展 終了しました


東京都美術館で開催されていた 第46回 齣展 が無事終了しました。
来ていただいた皆様ありがとうございました。













2017年9月10日日曜日

第46回齣展(コマ展)開催してます


齣展 (コマ展)はじまりました。上野 東京都美術館 院展の上の階です。
2017年の齣展(コマ展)は、
9月9日()~9月17日()
上野公園内 東京都美術館
AM9:30 PM5:30(入場受付は PM5:00まで)
初日のみ PM2:00開場
最終日は AM12:00まで入場受付、PM1:00終了

ギャラリートークは9月10日() PM2:00から。
会場は院展の上の階です。

朝倉彫塑館では開館50周年記念特別展、朝倉文夫の「猫百態」をやってます。
東京都美術館から徒歩15分ほどです。齣展観覧からの散歩コースにいかがですか?

2017年5月22日月曜日

Z型玄翁の提案


私が古物市で買ってきて使っている玄翁に、このようなものがあります。


プロポーションが細長く、大玄翁のように見えるが実際は100匁強の玄翁です。この玄翁は意識的に前後方向にゆがめて作られた形跡があるのです。言葉で説明しづらいので図と写真を載せます。

このように穴に柄を挿げますと自然と手元が下がるように作られてます。このニュアンスが火造りの段階で明らかににつけられてます。使用者からの要望を汲んだ製作者がいたことを現しています。どちらかへ転んでしまうのなら意図的に転ばそうということでしょう。
このタイプの玄翁は他でも見たことがあります。ある大工道具屋さんの所蔵品でしたが、それは穴屋が使っていたという大玄翁で、もっと明確にZ型をしていました。
そして最近思い出したのが続・道具曼荼羅に載っていた「割れた玄翁」です。これも穴屋がつかっていた大玄翁とのことです。続・道具曼荼羅は持っていませんので友人のものを撮影させてもらいました。複写でない撮影での掲載をお許しねがえればと思います。
この大玄翁もその傾向があるように見受けられますがどうでしょうか。

穴屋の大玄翁として有名なのは土田刃物店蔵の大黒屋の大玄翁ですが、丈が4寸3分ある長大なものです。穴屋の使う大玄翁がすべて大黒屋のような丈の長いタイプであったかどうかは断言できないのも事実でしょう。他にひとつでも例があれば別ですが、私は見たことがありません。なお、大黒屋作の大玄翁はストレートで穴も真っ直ぐです。Z型ではありません。


それらのことを踏まえ、木型で製作してみます。


右が大黒屋の大玄翁の石膏型で、用意したのはそれよりわずかに短い欅材。


荒取りはこのような形。


彫りあげたところ。


着色してみた。両口が平行であることを示す。


柄にみたてた真っ直ぐで厚みだけテーパーの木をさしてみた。予定通り手元が下がった。

その後、彫り変えて鍛造痕を修正しました。



玄翁の木型は打ちっ放し仕上げ風にしてみたのですが、私が持っている100匁強の玄翁の側面が火造りの鎚跡そのままであったためです。穴を開けた際の胴中のふくらみも残ってます。もっとも胴中が膨らまずに火造る方法もあることでしょう。大黒屋の大玄翁には、この胴中のふくらみはありません。
仮説ですが、古くは玄翁などは火造りのままに近い製品だったのではないでしょうか。現在でも彫金用の鎚はふつうに火造りの鎚跡が残ってます。

そして伝説の John Henry が振っていたという Spike Driver Hammer です。角ノミ機の出現で職を失った穴屋は、蒸気釘打ち機と競争して敗れたジョン・ヘンリーの話と同じ事象であることに気づきました。
本国ではアンティークでしか見あたらない Spike Driver Hammer ですが、なんと日本で作られてるようです。このような鎚が江戸時代に入っていたら、、、これも仮定のはなしですが。

株式会社ヤマカツ 製








2017年5月21日日曜日

肖像の研究 5 にお出掛けくださいましてありがとうございました

「肖像の研究 5」岩野亮介展に、お出掛けくださいましてありがとうございました。






チャーリー・パットン


旧作の貼り子化






会期中の4月29日の晩には、町田謙介さんにギャラリーで生声ライブを演っていただきました。外のベンチに座っていたボブさんも雨宿りで会場内に入ってきました。



ボブさんの前で緊張ぎみ?で歌う


さらに罰金をとらんと見守る御大

30人のお客様にお越しいただきました。





町田さんの許可を得てアップしました。
生声とポータブルのギター・アンプのバランスが良く、ギャラリー内に響きわたっていました。





2017年4月11日火曜日

展覧会のお知らせ





肖像の研究 5 岩野亮介 展
2017年 4月21日(金)~4月30(日)
12:00~19:30
26日(水曜 休み)
平八ギャラリー 東京都世田谷区上馬4-29-5




2017年4月9日日曜日

チャーリー・パットンのチョクトーへの帰属問題「Down the dirt road blues」



 チャーリー・パットンが Down the dirt road blues で歌っていると言われているパットンのチョクトー帰属への陳情について、調べていく中で行きついたなつかしいスチュアート・ヘンリさんと北米インデアン史の第一人者として活躍されている佐藤 円さんのお名前。そして同窓会で佐藤さんとお会いして直接パットンの話ができました。チョクトーとしてのパットンに興味を持ってくれてうれしかったです。佐藤さんはチャーリー・パットンを知らなかったんですが、Down the dirt road bluesの歌詞を見てチョクトー・ネイションについて歌ったことは確実だと言ってます。パットンのCDを進呈しました。当時のSP盤は3分ちょっとで実際はもっと長く演奏されたに違いありません。録音時には普遍的な比喩表現に抑えたかもしれないし、実際にはもっと具体的に自分のぼやきや怒りを歌った可能性もあります。
 パットンの時代はちょうどネーションが反故になる頃ということで、お祖母さんがチョクトー族(佐藤さんによると、この母系ということが南部のインデアンにとっては重要らしいです。)であることを頼りにネイションに土地の権利を主張しに行ったのでしょうね。録音のためにインディアナ州リッチモンドやウイスコンシン州グラフトンまで行ったことのあるパットンですから、ミシシッピーからオクラホマまで出かけることは簡単なことです。当時、寝台車ポーター組合も組織化され、プルマン・ポーターによって運ばれる黒人新聞で情報も拡散されていたでしょう。小作の身分から抜け出すチャンスだったのですが、けっきょくダメだったわけです。ブラック・インデアンのインデアン帰属問題は現在までも尾をひいてるようです。
 カリブ海、特に原住民が死滅してしまって、ほとんどアフリカそのものになってしまったハイチなどの音楽に比べて、アメリカ南部の黒人音学のそれがある種の「追分節」的雰囲気があるように聞こえてなりません。もちろんヨーロッパ起源の音楽が主にあり白人と同じような音学も演っていたことでしょうが、ブルースが生まれたころ、ミシシッピーの最深部あたりでインデアンの音楽が介在したのではないでしょうか。佐藤さんにそのはなしをしたんですが可能性を認めてくれました。タンパ・レッドなんか名前からしてブラック・セミノールであることがうかがえますが、こちらはずっと都会的です。
 ジェームズ・ブラウンが言っているファンクの"The One"のリズムって、あれインデアンの太鼓ではないですかね。あくまで素人の推測ですが。ジェームズ・ブラウンもサウスカロライナの地で両親ともにインデアンの血が流れてますね。そういうのって血がさせることじゃないですが。

*2018年3月4日、「チェロキー」の部分を「チョクトー」に修正しました。


2017年3月25日土曜日

最近やっている手動HDR処理(稲村ヶ崎にて)

先日、稲村ヶ崎で撮影してきた画像ですが、逆光のコマで手動 HDR処理してみました。以前にも「HDR手動処理」で書きましたが、少しは進歩してると思います。
撮影に持っていった人像は張り子で軽量化したものです。


元画像です。
これに RAWファイルから現像した。明るめの画像をレイヤーとして重ねます。


地面からの反射光のあたる部分です。明るいところは選択ツールなどを使って消してあります。

重ねたのがこれ。ここまでは銀塩モノクロの多階調印画紙でやってたことと同じですね。


一味つけたいので、これを iPhone に送って、インスタグラムの自動現像を行ってみます。
ここで Toaster という自動処理。これが気に入ってます。
なお、インスタグラムは私の iPhone で 3420 X 2262 pixel の 4.5MB (長手:72pixel/inch の1200mm)ぐらいにサイズを落とさないと動きませんでした。


インスタグラムで出来た画像です。
これをPCにもどします。


インスタグラムの画像は縮小してしまっているので、編集→変形→拡大・縮小で画像を延ばします。磁石効果で隅でピタッととまって、完全に重なるとおもいます。延ばした画像をつけたり消したりして確認します。


この画像は解像度が落ちてますのでフェードします。


最終的なレイヤー層です。

当日撮った画像は、水平線がすべて右下がりに写っていました。人像だけ気にして撮っていたわけですが、それにしてもひどいですね。少しばかり自分の水平感覚に疑いをもってしまいました。画像で水平は直しました。「すぽっていんぐ」はそのときに隅がもったいないので足したものです。

出来た画像がこれ。