2016年2月24日水曜日

ハイス(ハイスピード鋼)鉋の調整

彫刻の頭部と手は尾州ヒノキをつかいますが、胴体部分に米杉をつかっています。
米杉は暴れず、軽く、ヤニがなく、耐水性があり、糊が効き、大材のわりに安いという良いことずくめなのですが、木が鉱物質を吸い上げるのか分かりませんが刃物がすぐに切れなくなります。
そこでハイスの鉋が重宝します。細かく研げないので杉・ヒノキを削って仕上げるのには不向きですが、合板やアクリルのコバを削っても切れがすぐに止むことはありません。もっぱら一番使う鉋です。
そのハイスの鉋を使いやすく調整しています。




ウラを荒砥などですきとっています(この製品はべたウラです)。ウラ出しできないので使いながら徐々にやっていった結果です。

厚い鋼の部分を少なくする形でダイヤモンドの軸付き砥石ですいています。現在、やりすぎなかんじで刃が鋼だけになってしまってますから当分このまま研ぎ減らします。
迅速研磨のためです。


刃口に真ちゅうを埋めた一枚ガンナです。二代目の刃口ですので樫のブロックに真ちゅうを入れて埋木してあります。
彫刻にはもっぱら接ぎ合わせ面削りに使いますので、材を定盤にスリ合わせたときの定盤に塗ったダーマトグラフの赤や、赤いカーボン紙の顔料が鉋に移っている状態です。




2016年2月23日火曜日

ダイヤモンド砥石の修理

荒砥としてダイヤモンド砥石を使うようになって、今まで使っていた荒砥を片付けてしまいました。なによりも流しが荒砥の粒でジャリジャリにならなくて済みます。
そして、ツラ直しをしないで済むのも大きいです。同じ箇所を刃物が往復してもへっこむことはありませんし。
普通の砥石のように平面は直せないわけですが、荒砥としては十分な平面精度です。

ただし、ダイヤの砥粒が表面のメッキ層に含まれているので使い続けていると、どこかしらメッキ層が剥がれ錆が生まれてしまいます。とくに柔らかい地金をネトっと引きずってしまうと盛大に剥がれたりします(液体石鹸を少したらして研ぐと多少防げるようです)。いずれにせよ、しまつのわるいことに、メッキ層の下に錆が入り込むと膨れあがり、砥石として機能しなくなってしまいます。



錆の部分を尖った鎚で崩す。

浮いたメッキ層を除去する。

ワイヤーブラシなどで鉄の地金を出す。

錆のあった場所に漆を塗る。コバの部分は一周塗ってしまいます。


トースターで漆を焼き付ける。


研削力はじょじょに落ちてきますが、2年ほど使っています。錆の補修は二回目ですが、まだまだ使えます。
漆を使いましたが、もちろんカシュー塗料やエナメル系の塗料も焼き付けられます。ことによると焼き付けしなくてもよいかもしれません。


漆がチンコってますが、同様な理由で漆を背面とコバに焼き付けたダイヤモンド砥石の小片です。