2011年1月21日金曜日

R.W.計画 その3 (製材・ガガリの効用)

 私の扱う素材は粘土と木です。粘土は最終的に石膏、まれにブロンズに置き換わります。私の場合はコンクリート(正確にはモルタル)に置き換わる場合が多いです。
 よく、モデリングとカービングの違いを一般の人に聞かれますが、私は、作業中横に倒して作業できるかできないかの違いです、と答えます。怪訝な顔をされます。が、実はこれ、とても重要な違いだと思うのです。起てて彫っていた木彫を倒して転がしてみると、思わぬ発見をして仕事がグッと進みます。手がけている物が、いままでと別物に感じられることができます。また起てていたときには手が届きにくかったところが、体勢がが変わり楽に作業できるようになることも大きいでしょう。鉄の心棒つきの粘土では、これができない。粘土は自分の重さで床に接するところがつぶれてしまいます。もっとも、わたしのやる粘土のレリーフはモデリングですが、作業中板ごと横にしたり逆さにしたりできます。例外はあるとおもいます。
 R.W.計画は、木でやってます。尾州桧と米杉です。ほんとはすべて尾州でやりたいのですが非常に高価です。米杉はヤニもなく軽く狂わないし、ノリもきくのでイイのですが柔らかいくせに鉱物質を含んでいて刃物がすぐ切れなくなります。米杉は鉛筆や油絵のキャンバスの枠に使われています。
 高価な尾州桧ですんで、チェーンソーでもりもりというわけに行きません、ちなみに、私のチェーンソーをお見せします。名機、新ダイワ・ペッカーA400です。底部のムスタングの吸気口のような物はマキタの掃除機のホースを取り付けるオガ屑とりです。重たい屑は下に落ちますが、宙に舞うような細かいヤツは吸い込んでるようです。

 チェーンソーで挽きますと1センチぐらい挽きしろがあり、高価な材料にはつかえません。そこで登場するのがガガリです。ガガリとは縦挽きのノコ全般の名称で、それに対し横挽きはヒッキリとかキリとか言っていたらしいです。コミがなく橦木の柄がつくものをブッキリガガリといい、おもに建具屋が木取りに使っていました。それではわたしのガガリ達をご紹介しましょう。いずれも中古で購入した物です。
うちのエース、横手之住・中や?左衛門 尺2寸
大工ノコですが橦木の柄をすげています。
とてもイイ調子です。
押さえの切り札、ベテランの谷口清兵衛 1尺
伏見のノコだとおもいます。
次期エース?二見屋市五郎 尺3寸
二見屋は三多摩地区に多い屋号です。関東のノコ鍛冶は◯五郎というのが多いです、
関東の3五郎と呼ばれたノコ鍛冶が3人いましたがこれは違います。
最近手に入れました。まだ使っていません。


 バンドソーは持っていません、バンドソーを使ったあとの掃除のことを考えると、ガガリの作業はけっして遅くありません。昔と違っていい万力がありますし。
 バンドソーでできない芸当があります。下の写真を見てください、1つの材から、手首の部品を巴型に2つ取ろうとしてます。二方にころばせて墨をひいてます。これをバンドソーでやろうとしたら大変な騒ぎです。テーブルをかたむけて口をとりかえて、、、材がぎりぎりだったんでチェーンソーではダメです。
 無事、手首の材料がとれました。